このページではミックスダブルス(MD) カーリングのルールを、4人制と比較しながら解説します。
チームの人数
4人制:文字通り1チーム4人で構成。
ミックスダブルス(MD):男女1名ずつ、1チーム2人で構成。
(チームというよりペアと呼ぶのが適切でしょうか。)
試合形式
基本的なルールは4人制と同じです。先攻・後攻交互に1投ずつ、ハウスと呼ばれる円に向かってストーンを投げて、決められた数のストーンをすべて投げ終えた段階で、1つのエンドが終了。
ハウス(円)の中心によりストーンを近づけたチームが、そのエンドでの点数を得ます。点数のカウント方法も、4人制と同じです。
1試合のエンド数は、4人制の10エンドに対して、MDは8エンドと少し短くなります。もぐもぐタイムことハーフタイムは、4人制は5エンド終了後、MDは4エンド終了後に5分間用意されます。
最終エンドを終えて同点の場合は、どちらかが得点するまで延長戦(エキストラ エンド)を実施するところも、4人制と共通です。
ストーンの数と投げる順番
4人制:1人2投ずつ、1チーム8投、両チーム合計16投。
投げる順番は、試合を通して原則変更禁止。
MD:1チーム5投、両チーム合計10投を投げますが、予め各チーム1個ずつストーンを置いた状態からエンドが始まります。よって使えるストーンは、各チーム6個ずつ。
一人がチームの1投目と5投目(最初と最後)を投げ、もう一人がチームの2,3,4投目を投げます。男性・女性どちらが1投目と5投目を投げるかは、エンドごとに変更することも可能です。
置き石
MD固有のルールです。予めセンターライン上にストーンを置いた状態からエンドが始まります。先攻チームのストーンがセンターガードの位置に、後攻チームのストーンがバックガードの位置に置かれます。
置き石の配置(赤が先攻、黄が後攻の場合)
このストーン配置、4人制の先攻チームが攻める(すなわち点を取りに行く)パターンに似ていませんか?ということは、・・・(後ほど説明します)
先攻・後攻
4人制:得点出来なかったチームが、次のエンドは有利な後攻になる。(決まりごと)
MD:得点出来なかったチームに、次のエンドの先攻・後攻の選択権(言い換えると置き石の配置を選択できる権利)が与えられます。殆どの場合、後攻が選択されますが、ルール上、先攻を選ぶ事も出来ます。
ブランクエンド(どちらのチームにも点が入らなかった場合)
4人制:次のエンドも先攻・後攻は変わらず、持ち越しとなります。
MD:ブランクエンドで先攻だったチームに、次のエンドの先攻・後攻選択権が与えられます。
テイクアウト禁止ルール
4人制:
後攻の2投目(全体の4投目)までは、
フリー・ガード・ゾーン(FGZ)にある
相手のストーンを
プレイエリアの外にはじき出してはならない。
相手のストーンを動かすことや、自分たちのストーンをはじき出すことはOK。
MD:
先攻の2投目(全体の3投目)までは、
プレイエリアにある
すべてのストーンを
プレイエリアの外にはじき出してはならない。
ハウス内のストーンであったり、自分たちのストーン(置き石)であっても、はじき出すことはNG。動かすことはOK。投げたストーンが外に出ることもOK。
プレイエリアとFGZ(チェッカー部分)
MDのテイクアウト禁止ルールは、4人制のFGZルールより厳しく、更に置き石もあるので、MDのゲームではセンターラインにストーンが溜まりやすくなります。ストーンが溜まりやすいということは、ハウスが狭くなるので、後攻チームが2点以上を獲ることが4人制よりも難しく、先攻チームがスチールする(得点する)チャンスも十分あります。
そこで一発逆転のチャンスカード、後攻チームが点を取りやすい置き石の配置を選べるルールが追加されました。それが、
パワープレイ
1試合に各チーム1回だけ使用する事ができます。エキストラエンド(延長戦)では使用できません。
パワープレイ時の置き石(赤が先攻、黄が後攻の場合)
センターガードがコーナーガードの位置になり、ハウス内のストーンもティーライン奥からティーライン手前に変更されます。左右どちらにストーンを配置するかも、後攻チームが選択できます。
パワープレイのストーン配置は、4人制の後攻チームが攻める(すなわち点を取りに行く)パターンに似ていますよね。ハウスを広く使えるので、後攻チームが複数点を狙いやすくなります。
ただし、繰り返しになりますがパワープレイを使えるのは各チーム1試合に1回だけ。どの場面でパワープレイを使うのか? また相手はいつ使って来るのか?チームの試合全体を通じた戦略をお楽しみください。
スウィーピング
4人制:
ストーンを投げる人に対して、
スキップまたはヴァイス・スキップが投げる際の目標を示し、
スウィーパーが2人付きます。
4人制ではストーンを投げる際に、スキップまたはヴァイス・スキップが投げる側と反対側のプレイエリアに立っていないといけないルールがあります。MDにはこのルールがないので、
MD:
ストーンを投げる人に対して、もう1人の選手は、
1. 反対側のプレイエリアで目標を示してもよいし、
2. 最初からスウィーピングのためのポジションで準備していてもよい。
どちらでも構いません。
チームによって対応が分かれますが、
1. の場合は、投げる際のラインを重視、
2. の場合は、スウィーピングを重視していると言えます。
いずれにしても4人制の2人スウィープよりは、スウィープの力が期待できないので、投げ手には、より繊細なウェイト(ストーンのスピード)コントロールが求められます。